トランプ大統領の国家安全保障担当補佐官マイク・ウォルツ氏は、1月12日のABCニュースのインタビューで「トランプ大統領は、ロシアとの直接交渉に入る前にウクライナの前線を安定させることを目指し、同国に徴兵年齢を18歳に引き下げるよう圧力をかける計画だ」と述べた。
現在のウクライナの徴兵年齢は25歳。前線では兵士の高齢化と戦死傷者の増加で深刻な兵力不足に直面している。ゼレンスキー大統領の米国の軍事支援増大に対して、トランプ政権は稀少鉱物資源の権益要求とともに「その前にすべきことが在るだろう」と言わんばかりである。
さて中国の武力による台湾統一という危機が叫ばれており、その際に日本の南西諸島地域も紛争に巻き込まれることが危惧され、シンクタンク等でシナリオに基づくシミュレーションが行われている。その際に、日米安全保障条約に基づく米国の支援はどうなるのか。米国は以前から日本が自らの国は自らの力をもって守り抜くということを行動で示さなければ米軍の将兵が日本のために血を流すことは無いだろうと言っていた。
ウクライナの人口はロシアの侵攻があった2022年に約5,000万人。ウクライナ軍の兵力はミリタリーバランスによると予備役を含む総兵力は約100万人でその内約35万人が現役で軍務に就いている。人口比で言えば現役が約7%、予備役が13%ととなる。では日本はどうか。自衛官の勢力は定員で現役が約25万人、予備が約6万人である。日本の人口1億2,488万人に占める割合は現役で0.2%である。日本が他国からの侵略を受け、人口の0.2%の自衛隊が戦っている状況を見て、トランプ大統領は「自らの国は自らの力をもって守り抜くということを行動で示している」と認識するだろうか。
さらに、トランプ大統領は日米安保条約を「日本は米国のために血を流すことは無く片務的だ」と批判している。石破総理は「米軍に基地を提供する代わりに日本の防衛を支援してもらう非対称な双務条約である」と言うがトランプ大統領にはつうじないだろう。トランプ大統領の思考は全てディール(取引)である。日本有事に際し米国の支援を得るには自らの防衛努力とディールに値する米国にとっての日本の価値を湿す必要がある。
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