昨今、自衛官募集が厳しく自衛官の処遇改善が以前にも増して叫ばれている。自衛官の給与や各種手当ての増額、宿舎の無償化拡大などが検討されている。ただ、任官に際し「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえる」と宣誓する自衛官の処遇改善としては視点が狭く、次の2つの視点から処遇を考えるべきである。第一は、国家に命を捧げることを前提とする自衛官への処遇と、第二は、自衛官が後顧に憂いなく任務を完遂するための家族への支援である。前者は自衛官の地位・名誉、給与、福利厚生である。恩給や医療など米軍の手厚い福利厚生は有名であるが厳しい罰則(最高は死刑)とセットである。後者は家族への福利厚生と特に自衛官が殉職した際の生活補償である。自衛官が殉職した際には賞恤金や遺族厚生年金や遺族基礎年金の支給がある。しかし両者とも現状は他の公務員と横並びの域を越えない。
自衛官の処遇が進まないのは、自衛隊は軍隊ではなく公務員だからと聞く。一方で、政府は国会で「自衛隊は海外に出れば軍隊と見做される」と答弁している。この矛盾を解消しない限り、僅かの給与増額で募集が改善されるとは思わない。早急に自衛官の地位と名誉を適正にし、公務員とは一線を画した処遇の在り方が検討されることを望む。
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